先進的な発酵・焙煎プロセスで、コーヒーの新たな魅力を発見。

メキシココーヒー試飲会レポート


2022年秋、THE COFFEESHOPの協力のもと、メキシココーヒーの試飲会が開催されました。

メキシココーヒーは、コロンビアやパナマなどのメジャーな生産地域の豆と比べるとまだまだマイナーですが、農園とシティの距離が近く、カフェが中間の業者を通さずに直接農園へと赴き買い付けできる環境が特徴。そのためメキシコでは、コーヒーを通じた幅広いネットワークやコミュニティが形成されています。

また、メジャーな生産国の豆と比べて良い意味で伝統色が薄く、実験的な発酵方法や焙煎方法が行われるなどアクティブな風土があるのも魅力。メキシコでは最近、COE(コーヒー豆の品評会団体)も始まり、メキシコ産コーヒー豆のクオリティは年々上がってきているところ。メキシココーヒーは今、コーヒー・バリスタ界でも注目のジャンルなのです。

そんなメキシココーヒーの魅力を伝える架け橋となってくれたのが、メキシコのカフェ「Color Cafe」オーナーであるロドリゴさんと、その友人である大善さん。ロドリゴさんは、もともとORIGAMI愛用者で、「メキシコ豆の魅力を知ってほしい」という思いのもと、私たちにコンタクトをとってくださりました。


今回はロドリゴさんみずからチョイスし、メキシコから直送してくださった豆4種類を、大善さん案内のもと味わいます。

「究極のコーヒー体験」を届けるTHE COFFEESHOP協力のもと開催

今回、試飲会に協力してくれたTHE COFFEESHOPは、渋谷区富ヶ谷に店舗を構えるスペシャルティコーヒーショップ。


コンセプトは、「究極のコーヒー体験を」。


数あるスペシャルティコーヒーの中から、品質をシビアに見極め最高品質の生豆を厳選。豆が持つ風味や味わいを最大に引き出す焙煎をし、豆の個性をしっかりと抽出することを大切にされています。

また、コーヒー豆のデリバリーサービスや、YouTubeでの抽出動画配信など、新しい試みにも積極的に取り組んでおり、スペシャルティコーヒーの魅力をより多くの人へと届ける活動にも力を入れています。


日々、豆の品質と、豆の個性を最大限に引き出す焙煎・抽出方法と向き合うTHE COFFEESHOPだからこそ、メキシココーヒーの魅力を引き出し、新しい世界を見せてくれることでしょう。


今回の試飲会では、ストアマネージャーで焙煎士の萩原大智さんみずから、メキシココーヒーを淹れてくださいました。

個性豊かな4種の豆を味わう

ここからは、実際に試飲した4種の豆の特徴や味わいについてご紹介していきます。

1. 収穫時の糖度22%。萩原さんに焙煎していただいた豆


産地:メキシコオアハカ州プルマイダルゴ

農園:マントニエブラ

農主:ソフィエ、パンチョビジャレアル

標高:1100m

品種:プルマ

プロセス:ウォッシュド

味わい:カルダモン、アニス、カモミール、白ワイン、レモンパイ、桃、キウイ、キャラメル、練乳、黒糖、ナッツ

特徴:収穫時に22%の糖度があったロットです。糖度の高さは、発酵時に菌やイーストの生成に対して優位に働きました。収穫はすべて手で行われ、熟したものを選別し、さらに浮き豆除法によって密度のある豆だけを厳選しました。発酵時は17度に保ち、アナエロビック製法で2日間行いました。その後、豆が傷つかないように外皮を取り除き、取り除いた外皮はカスカラティー(外皮を使ったお茶)に活用されます。豆は70%の日陰を作って30日間天日干しをしました。


2. 音の振動によるハイドロソニック製法で発酵を促進した豆


産地:メキシコオアハカ州プルマイダルゴ

農園:マントニエブラ

農主:ソフィエ、パンチョビジャレアル

標高:1100m

品種:プルマ

プロセス:300分間のハイドロソニック製法、ビール酵母での発酵

味わい:チェリー、グレープフルーツ、オレンジ、イチゴ、バニラ、コーラ、赤胡椒、ハバネロ、松の実、マカデミア、マンゴー、ピスタチオ、

特徴:水に生豆を投入し、ビール酵母を追加。発酵時にはスピーカーをタンクに入れて、音の振動により発酵が促進されました。一晩中かけて発酵させ、翌日1日かけて天日干し。その後80%の日陰を作り、さらに50日間天日干しに。ナチュラル製法のように長い時間をかけることで、理想の湿度を保って丁寧に干された豆です。


3. サワーソップ(アメリカ大陸原産のフルーツ)でのマセラシオン製法で精製された豆


産地:メキシコオアハカ州プルマイダルゴ

農園:マントニエブラ

農主:ソフィエ、パンチョビジャレアル

標高:1100m

品種:ゲイシャ

プロセス:ナチュラル、サワーソップマセラシオン製法

味わい:マメイ、ドラゴンフルーツ、パイナップル、カカオ、赤ワイン、チェリモヤ、ナッツ

特徴:マラセシオン製法は、ボージョレ・ヌーヴォーでもよく使われる発酵方法。酸素に触れないようにしっかりと密閉した容器にコーヒー豆とサワーソップの実を入れて発酵させました。サワーソップによって発酵が活発化する環境を作り出し、繊細でスポンジのような柔らかい口当たりを実現することが可能に。


4. バナナでのマセラシオン製法で精製された豆


産地:メキシコオアハカ州プルマイダルゴ

農園:マントニエブラ

農主:ソフィエ、パンチョビジャレアル

標高:1100m

品種:ゲイシャ

プロセス:ナチュラル、バナナマセラシオン製法

味わい:レモン、フサスグリ、バニラ、みかん、メスカル、山羊のミルクの練乳

特徴:こちらはバナナを使ったマセラシオン製法で発酵させた豆。バナナを入れることで甘味が引き立ち、クリアな後味に仕上がっています。

新たな視点で生み出されるメキシココーヒーに今後も注目

先進的な発酵方法や焙煎方法によって、新たなコーヒーの魅力をもたらしてくれるメキシココーヒーたち。今後さらに、日本のコーヒー界でも広がっていきそうです。


2023年には、今回メキシコ豆をセレクトしてくださったロドリゴさん主催のバリスタ大会も予定されているとのこと。この大会では、ORIGAMIのドリッパーを使っていただけることになっています。これからも、ORIGAMIがメキシコと日本のコーヒー界の架け橋になりながら、メキシココーヒーをさらに盛り上げる一助となれることに期待しています。