UNiUNi(中国 南京)バリスタ/杜嘉宁(ワールドブリュワーズカップ2019 チャンピオン)


今回のゲストは、中国 南京のカフェ「UNiUNi」でバリスタとして活躍されている杜嘉宁(ドゥ・ジャーニン 以下ドゥ)さん。2019年ワールドブリュワーズカップ・ボストン大会で世界チャンピオンとなった際、ORIGAMIのドリッパーを使用いただきました。

ORIGAMIのドリッパーは、「ウェーブ型」「円錐型」2タイプのペーパーフィルターに対応しており、ドゥさんはボストン大会で優勝されたとき、ウェーブ型のペーパーを使用されました。

本インタビューでは、ORIGAMIのドリッパーと「ウェーブ型」「円錐型」それぞれのペーパーを組み合わせて使う際の抽出の変化や、使い分けのポイントについてお話を聞きました。

ドゥさんの過去のインタビューはこちら


──新型コロナウイルスの拡大によって、現在でも世界中で混乱が続いています。ドゥさんのお仕事は影響を受けましたか?

流行が最初に起こった頃、たまたまパナマに出張していたのですが、その後フランス経由で帰国するはずがフライトが何回もキャンセルされ、しばらく空港に閉じ込められていました。

その後なんとか中国に帰れまして、2週間の隔離を終え、ようやく南京の店に戻れました。

当時は中国全土がロックダウン状態で、私たちの店も1か月程営業中止になりました。

その後、徐々にテイクアウト解禁、店内飲食解禁と、今では通常営業に戻ることができましたが、ロックダウン期間中、業界が厳しい状況のなか我々は多くの同業者に対して無償でコーヒー豆を提供したり、オンライントレーニングも行いました。

これからも、困難をみんなで乗り越えなければなりませんね。

──もっとも困難な場面は乗り越えられたとして、これからに向けて何か新たな目標はありますか?

店舗の営業では大きな困難があった一方で、ロックダウン期間中は、お店のEC販売が結構伸びました。

会社のほうでは、今後もEC販売、ブランドの再構築、そしてtoB卸販売のほうにもさらに力を入れる予定です。

私個人としては、コロナ禍でトレーニングの仕事(ドゥさんは「M2M COFFEE TRAINING&EDUCATION」で、さまざまなレベルのバリスタを対象にトレーナーとしても活躍)が4ヶ月ほど中断してしまった期間もありましたが、これからトレーニングの内容をもっと進化させることを目指しています。

初心者からプロバリスタまで、それぞれの層に適切な教程を開発し、そして基礎的な技術の習得後は、カップテスター、ロースター、店長、品質管理マスターなどへのキャリアアップ志向に合わせて、より特化したトレーニングを行っていきます。

──このような充実したトレーニングシステムは、業界に参入したい方々にとっては非常に貴重ですね。
ここからは、ORIGAMIのドリッパーと、ペーパーフィルターの話題に移りたいと思います。
ORIGAMIのドリッパーは、ウェーブ型と円錐型の2タイプのフィルターと相性よく使用できることが一つの大きなポイントです。
ORIGAMIのドリッパーを使用するとき、2種のフィルターを使うときの抽出の違いや、使い分けのポイントを教えていただけますか?

同量のコーヒー粉を入れると、ウェーブ型、円錐形の形状の違いによって、粉の層の厚さが変わります。円錐型のほうが粉層が厚くなり、ウェーブ型の方がフィルターの形状に凹凸が多いぶん、層が薄くなります。

コーヒー粉の層が薄くなるウェーブ型を使用した場合、お湯が粉層を通過する時間が短く、粉の上層と下層の抽出状態がほぼ同じになります。

これに対して、層が厚くなる円錐形を使った場合は、粉の上層と下層の抽出状態に差がでます。これはコーヒーの味に一定の変化をもたらします。

それぞれの違いを詳しく言えば、ウェーブ型フィルターは均一な抽出を達成するのがより簡単です。

抽出したコーヒーの味はより安定しているので、豆の違いなどによって、酸味、苦味、または甘味のどれかの味が特に顕著になるはずです。

一方で、弱点とまでは言いませんが、均一な抽出に秀でているぶん、複雑で豊かな味をもたらすことが難しくなります。

円錐型フィルターは、上層と下層の抽出状態の違いにより、上層の粉と下層の粉から溶け出す物質に差が出ます。これをうまく利用することで、コーヒーの味により複雑性を作ることができます。我々は、この複雑性を「制御可能な不均一抽出」と呼んでいます。

ポイントをまとめると、ウェーブ型フィルターを使う場合、コーヒーの味は一つのフレーバーが顕著に現れクリアに味わいになります。円錐型を使う場合、より複雑でコクのある味わいになります。

──2019年のボストン世界選手権で、ドゥさんがORIGAMIドリッパーとウェーブ型フィルターの組み合わせを使用した理由は、均一抽出をしたかったというわけですね? 
なぜ「制御可能な不均一抽出」ではなく、均一抽出を選んだのでしょうか。

そうですね。

世界選手権での私の抽出理念は、できるだけ均一に抽出することでした。

これは私が選んだコーヒー豆にも関連しています。

豆自体が、すでによい複雑性と豊かな味わいを持っていました。均一抽出にこだわることで、豆が持つ味わいを安定的に引き出せるとともに、風味の一貫性が高くなると考えました。

しかし、日常の使用では、そのように複雑に考える必要はありません。

コーヒー豆の風味がどんなものであろうと、より複雑な味わいを得たければ、円錐型のフィルターを使います。単一フレーバーがお好みの場合は、ウェーブ型フィルターを使えば大丈夫です。

フィルターの選び方に、決まったルールはありません。

これは個人的な好みの問題です。

ただし、コーヒー豆によって、ドリッパーの形状を選ぶことはあります。

たとえば、より早い時間で抽出する必要があるコーヒー豆を選ぶとき、お湯の流れるスピードがより早いドリッパーを選ぶのがよいです。

一方で、コーヒー豆をお湯と十分に接触させ、じっくり抽出させたい場合はお湯の流れるスピードが遅いドリッパーを選ぶべきです。

先ほど話した世界選手権のときに使ったコーヒー豆は、超快速焙煎の(大膨張)豆で、抽出時間が長くなると、苦みが出てしまうといった特徴があります。

そのため短時間での抽出が必要です。

これはORIGAMIドリッパーを選んだ理由の一つです。

──抽出時間をコントロールするために、ドリッパーの特徴を活かすのもポイントになるのですね。

もしコーヒーの味を極めたければ、焙煎プロセスも考慮する必要があります。

焙煎プロセスが変わると、抽出方法も変わります。

焙煎時間が短い場合、温度の上昇が早く、豆に含まれる物質が抽出されやすくなるので、より速い淹れ方がふさわしいです。

たとえば、私が世界選手権で使った豆の焙煎時間は4〜5分で、とても短い時間なので、私は1分30〜40秒の抽出時間を採用しました。

焙煎時間が長い場合、豆は硬めで、膨らみが少ないです。

中の物質を抽出させるには比較的遅いリズムがいいので、ゆっくりとお湯を通します。

──奥深いですね。コーヒーファンにとって貴重な情報です。
では、今日最後の質問です。
現在、ORIGAMIドリッパーの樹脂版新製品の開発を進めています。
樹脂製のドリッパーについて、どう思いますか?

私も、樹脂製のドリッパーはよく使います。

樹脂材質は吸熱性が高くないぶん、初期段階でより高い温度で抽出をしたい場合に向いています。

一方で磁器ドリッパーは、お湯の温度を吸収するスピードが(ほかの材料と比べて)遅い、そしてそのあとの放熱も遅いため、初期段階で高温を必要としないが、後半でより長時間温度を保つ必要とするコーヒー豆の抽出に適しています。

このように、ドリッパーの材質がお湯の温度に影響を与えるため、材質ごとに温度変化の曲線パラメーター比較図などが公開されていると、選ぶときの参考になると思います。

──貴重なご意見ありがとうございます。
引き続きORIGAMIを愛用していただけたらうれしいです。
またコロナが収束後、ぜひ日本の工場にもいらっしゃってください。

ぜひ! 楽しみにしています。

USER PROFILE

UNiUNi(中国 南京)バリスタ

杜嘉宁 様
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