ORIGAMI CUP 2024 TOKI, GIFU

大会レポート


2024年11月11日、第2回目の今回はORIGAMIの産地である岐阜県土岐市で行われました。
会場の「KOYO BASE」はORIGAMIの製造工場に隣接されており、ORIGAMIで淹れたコーヒーと産地の食材を楽しめるカフェ、ORIGAMIの全ての商品を購入できるショップの他にも、うつわの製造工程を学べる工場見学やワークショップを行っている複合体験施設です。
ORIGAMI CUPとは?

この大会ではプロのバリスタもホームブリュワーもスキルに関係なく、ORIGAMIドリッパーを使用して誰が一番美味しいコーヒーを淹れられるか競います。

堅苦しい雰囲気はなく、コーヒーを愛する人たちが集まり、競い合い、会場に居合わせた人たちとコミュニティの輪を広げてもらうことを目的としています。

日本ではオフィシャルとして、第1回目のORIGAMI CUPが2023年に東京で行われました。

ORIGAMI CUP 2023 TOKYO のレポートはこちら

日本以外では各国の代理店協力のもと、中国、韓国、シンガポール、インドネシア、フィリピン、オーストラリア、スイス、イラン、ブラジル、コロンビア、ペルー、ベネズエラ、エクアドルで既に開催されており、2025年にはアメリカやパナマ、ボリビアでの開催も予定しています。

日本の岐阜県土岐市で生まれたORIGAMIは今や世界中にユーザーが増え、ORIGAMIを愛してくださる皆様のおかげでORIGAMI CUPも世界各国で広がり続けています。

ORIGAMI CUPのルール
今回のORIGAMI CUPのルールはいたってシンプルでORIGAMIドリッパーと指定のコーヒー豆と水を使用すること。
競技者が持ち込めるものはハンドグラインダー、電気を使用しない抽出補助器具のみ。
それ以外のペーパーフィルターやスケール、ケトルなどの器具は会場で準備されているものを使用しなければなりません。
大会で使用するコーヒ豆は事前告知されず、当日会場で発表されます。
今大会はコーヒー豆はNOG COFFEE ROASTERSのケニアの浅煎りウォッシュド、抽出時の水は但馬天然水が競技者に支給されました。
競技時間はリハーサルなしの準備時間5分、抽出時間5分の10分間で行われ、150ml以上の液体を提供します。
ジャッジ方法はジャッジ3名がカッピングジャッジを行い指差しで勝敗を決定します。
スペシャルゲストジャッジとMC
左から吉田さん、中井さん、石谷さん、Ryanさん、飯高さん
前大会に引き続き、今回も国内外より特別なゲストジャッジにお集まりいただきました。

【ゲストジャッジ】(敬称略)


飯髙 亘 / @wataru_iidaka 

サザコーヒー所属、World Brewers Cup 2024 第2位


Ryan Wibawa / @ryanwibawa

World Brewers Cup 2024 第3位


石谷 貴之 / @taka_ishitani

World Barista Championship 2024 第3位


中井 千香子 / @nakachika

UCCコーヒーアカデミー専任講師、World Siphonist Championship 2023 第2位


吉田 友翔 / @yusho_yda

フグレンバイヤー、ヘッドロースター

大会MCのkopikalyanの西尾匡史さん @0k1rakuとTRUNK COFFEEの鈴木康夫さん@yasuo_suzuki_trunk 
予選~準決勝
競技に出場したのは27人。1グループ3名で競技を行い勝ち上がりのトーナメント戦が行われました。
競技で使用する豆は当日配布され、競技者は競技開始までの時間で豆のピッキングを行います。
競技者は準備時間5分、抽出時間5分で150ml以上のコーヒーをカッピングボウルに注いで提供します。
豆の挽き目やお湯の温度、注ぎの回数で組み立てたレシピで挑戦する方、抽出補助器具をプラスしたりオリジナリティにあふれた抽出方法もたくさん見られました。
1ラウンドにつき3名のジャッジがカッピングジャッジを行います。今回の評価基準は「クリーンカップであること」。
ジャッジは勝ち上がるカップを指差しで決定します。
ジャッジタイム終了後には競技者はジャッジにフィードバックを聞くことができました。
会場の様子
今年も会場にはブリューバーが設置され、大会で使用した豆で競技者たちがその日のレシピで淹れたコーヒーを来場者に振る舞い、飲み比べを楽しむ人たちで賑わっていました。
大会限定のロゴ入りカップ。カップを購入するとブリューバーで競技者が淹れたコーヒーの試飲が可能。
スポンサーブースの様子
また、今年は新たに大会スポンサーブースが設置され、最新のコーヒーマシーンやコーヒー器具が展示されていました。
参加者はブースで気になった商品を実際に試したり、コーヒーマシーンで煎れたコーヒーの試飲が可能。
またスポンサーからは競技者全員と入賞者にはそれぞれ豪華な賞品が贈られました。
【今回協賛いただいた企業様】敬称略
器具スポンサー/ 合同会社Kurasu
コーヒー豆スポンサー/ ネイビーブルー株式会社(NOG COFFEE ROASTERS)
ウォータースポンサー/マザーウォーター株式会社
ORIGAMI CUP TOKYO 2024 結果発表
左から小玉洋幸さん、大野智稀さん、小林剛さん
【優勝】大野智稀さん / @pessoa_oo
【2位】小玉洋幸さん / @h_k19900508
【3位】小林剛さん / @irregularcoffee
参加者27名の中から1回戦と準決勝を見事勝ち上がり、入賞した3名にはトロフィーとして大会限定の金・銀・銅のORIGAMI ドリッパーが贈られました。
おめでとうございます!
ORIGAMI CUP TOKYO 2024 入賞者の抽出レシピ
入賞された3名の大会レシピをご紹介します。

【優勝】大野智稀さんのレシピ

【使用した器具】

ORIGAMI Dripper Air S、ドリッパーホルダー AS 樹脂、ガラスコーヒーサーバーwith HARIO、ORIGAMI Paper Filter Wave、Comandante C40 MK4、サザコーヒー パウダーコントロールストッカーメッシュL

【準備】

コマンダンテは30クリックで32gを挽き、一番目の粗いメッシュLで粉をふるう。

【レシピ】

使用する豆のグラム:22.0g

お湯の温度:83℃

1) 0:00 45g

2) 0:30 120g (+75g)

3) 1:00 190g (+70g)

4) 1:30-35で落ち切り終了

湯温を65℃まで落としたお湯を50g加水し、味を取りながら調整して最終的には60〜70gほど加水。

【補足】

1回目は全体に、お湯を行き渡らせるように。

2回目は少し攪拌を起こすイメージで、ゆっくりサークルプアを。

3回目はセンタープアで、攪拌を起こさないように。ただ、最後の15gくらいのとこで回して、抽出終わりのコーヒーベッドが平らになるように意識。

TDSは1.07。

【ポイント】

意識したことは、コーヒー豆の詳細なプロファイルが当日まで公表されなかったので、どんな豆にもある程度対応できること。

クリーンカップと甘さです。

そのために湯温は低め、メッシュは粗め、フラットボトムのフィルターです。

そのためコーヒー液としては未抽出、アンダーなので液体の濃度は薄めにして、酸味が刺激的になりすぎないように。

加水の温度も下げました。


【2位】小玉洋幸さんのレシピ

【使用した器具】

Dripper Air S、ドリッパーホルダーAS樹脂、ORIGAMI Paper Filter Wave、COMANDANTE C40 MK4、サザコーヒーパウダーコントロールストッカーM、TIME MORE エアブロワー

【準備】

・冷水でペーパーをリンス。(フレーバーを飛ばさないため・一貫性を保つため)

・28gのコーヒー豆をCOMANDANTE25クリックでグラインドし、パウダーコントロールストッカーMで微粉を除去。

・エアブロワーを使用しチャフをできるだけ飛ばす。

【レシピ】

使用する豆のグラム:21g

お湯の温度:94℃

1) 0:00 60g 縦撹拌(強い撹拌を意識してお湯を注ぎ蒸らす)

2) 0:30 160g (+100g) 縦撹拌(1投目と同様に強い撹拌を意識する)

3) 1:00 260g (+100g) 横撹拌

4) 1:30 320g (+60g) センタープア

落ちきり寸前でドリッパーを外し出来高は265gくらい。

【補足】

最後に提供温度を多少低くしてから提供。


【3位】小林剛さん のレシピ
【使用した器具】
ORIGAMI Dripper S(陶器)、ORIGAMI Paper Filter Wave 1-2cups、ガラスコーヒーサーバー with HARIO、Commandante C40 MK3 + RED CLICKS、サザコーヒーパウダーコントロールストッカー アロマメッシュ、Candoのたこ焼き返し(棒)
【準備】
・コーヒー豆15gをCommandante C40 MK3 + RED CLICKSで55クリック(1回戦は56クリック)でグラインド。
・パウダーコントロールストッカーのアロマメッシュで微粉を除去し、粉は15gを確保する。
・フィルターリンス後にたこ焼き返しを使ってリブの谷をなでてしっかりフィルターをセットする。
・提出用カッピングボウルをお湯で温めておく
・粉をドリッパーに投入し、お湯が均等に広がるようにたこ焼き返しで粉を平らに均しながら粉の表面に渦を描く。
【レシピ】
使用する豆のグラム:15g
お湯の温度:92℃(3投目のみ、ケトルへ加水して75℃前後にする)
1) 0:00 60g (全体にまんべんなく優しく注ぐ)
2) 0:40 150g (+90g)(ゆっくり撹拌するように注ぐ)
3) 1:30 - 2:00 240g (+90g)(水を加えて75℃程度にしてから、センタープア。できるだけ流速を落として細い水を注ぐ)
4) 2:30 ドリッパーを外す
スプーンを使いサーバー内で丁寧に液体を混ぜて完成。
【ポイント】
流速が早すぎるとAcidityが尖りやすいので、できるだけゆっくり(途切れない細さ)で注ぐ。
クリーンカップを大前提として、アフターテイスト、フレーバー、スウィートネスの総合力が評価軸だったのでボディと甘さが出やすいWave(Flat Bottom)フィルターを使用するレシピを選択。
水が硬度70mg/Lで、普段より酸が水に吸収されてしまいフレーバーが鈍ると考え、やや抽出効率を上げる目論見でメッシュサイズを細かめに調整し、蒸らし時間を通常30秒から40秒と長めに確保。
また、クリーンカップに磨きをかけるため、ストッカーによる微粉除去および雑味の出やすい三投目の水温を下げました。
加水の量で温度は変わってしまうのを正確にしようとすると、二投目から三投目のインターバルが長くなってしまうため、適当なところで切り上げて三投目を目的の時間で注ぐことを優先しました。

大会終了後に行われたアフターパーティの様子
大会終了後は27名の競技者、ジャッジ、スポンサーの皆様との交流会としてアフターパーティが行われました。
パーティではKOYOBASEがこの日のために考えた岐阜県で生産されている季節の食材を使ったお料理や地酒が振る舞われました。

今回ご参加いただいた競技者27名の皆様、コーヒーに対しては真剣に、競技中は楽しく盛り上げてくださったジャッジとMCの皆様、ORIGAMI CUP開催のためにご協力いただいたスポンサー企業の皆様、会場に足をお運びいただいた皆様、本当にありがとうございました!

今年はアクセスのいい東京ではなく、岐阜県土岐市での開催を選んだ理由として、ORIGAMIを愛してくださる皆様にORIGAMIの生産背景や土地のことを知っていただきたいという想いがありました。

また、普段ORIGAMIの製造に関わっている工場スタッフには、自分たちが製造しているものを使ってユーザーが競技する様子を実際に見ることで、自分たちの仕事により一層誇りを持つことができた1日になりました。

ORIGAMI CUPがコーヒーを愛する人たちとのコミュニケーションの輪を広げ、ユーザーと産地の架け橋になれるように。

ORIGAMIは世界中に美味しいコーヒーを増やすため、これからも楽しい商品を皆様にお届けします。

次回の開催は来年を予定しています。

お楽しみに!


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