異端でもいい。こだわらないことにこだわり続ける。
異端でもいい。こだわらないことにこだわり続ける。

異端でもいい。こだわらないことにこだわり続ける。

THE LOCAL 店舗責任者 / バリスタ 大槻佑二

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2018.09.19

こんにちは。ORIGAMI JOURNAL 編集部です。

コーヒーに関わる様々な方にお話を聞く“with Barista!”。第13回のゲストは東京・青山のコーヒースタンド「THE LOCAL」店舗責任者兼バリスタの大槻佑二さんです。

大槻さんはバリスタとして店舗に立つだけでなく、2015年にスタートしたコーヒーの祭典「TOKYO COFFEE FESTIVAL」の発起人のひとりでもあります。

日本のコーヒーシーンを多角的な視点から盛り上げようとするそのチャレンジングな姿勢は、職人気質が多いバリスタの世界でも注目を集めています。ぜひお楽しみください。

THE LOCAL
店舗責任者 / バリスタ 大槻佑二
バリスタとしてのキャリアは、世界チャンピオンのバリスタが運営するカフェ「ポール・バセット」でスタート。その後、THE LOCALに入店。2万人以上の集客を誇り、国内最大級のコーヒーの祭典であるTOKYO COFFEE FESTIVALの発起人のひとりであり、現在も運営を担っている。

THE LOCAL
http://thelocal2016.com/

コーヒーを楽しんでもらえる仕掛けをつくりたい。

加藤
今日はよろしくお願いします。さっそくですが、「THE LOCAL」さんのコンセプトは非常にユニークですね。

大槻
ありがとうございます。ひとつのロースターにこだわるのではなく、全国各地のロースターの豆を扱うというのは、あまり他では見られないやり方かもしれません。

僕らはロースターではないし、農園から直接買い付けもしていません。さらにバリスタとして競技会に出場しているわけでもない。ひとつの味にこだわるより、様々なコーヒーを紹介したり、コーヒーという枠を越えた僕たちらしいやり方で、できるだけ多くの人に楽しんでもらいたいと考えています。

加藤
大槻さんにとってコーヒーは楽しんでもらうためのものなのですね。

大槻
はい。店内でも、イラストの展示やミュージシャンとのコラボとか、そういう楽しんでもらうための活動をやっています。

先日、GoodCoffeのエディターであるヴォーンの紹介でライブをやった時も、演者はオーストラリア人だったんですけど、せっかくだからオーストラリアの豆を持ってきてもらったんです。コーヒーが好きな人はオーストラリアのコーヒーを飲んでもらえたらいいし、演者のファンでコーヒーを飲まない人はビールを飲んで演奏を楽しんでもらう。それだけで充分じゃないですか。

その日は、お酒飲んだ後のコーヒーもいいよね、って珍しくコーヒーを頼んでくれる人もいたんですが、そういうきっかけが生まれるのは嬉しいですね。

加藤
コーヒーが主役じゃないくていい。

大槻
コーヒーは主役たり得ますが、一方で様々なものを繋ぐツールとも考えています。だから極端なことを言えば、コーヒーが好きじゃない方がお店に来ていただいても全然大丈夫なんですよ。いきなりアイスクリームを頼む方も大歓迎。コーヒーは飲んでないけど、雰囲気いいよね、店員さんの感じがいいよね、って個人のお店に通ってくれる人が増えるといいなと思っています。

「広げていく」ことが自分の活きる道。

加藤
大槻さんは最初からコーヒーをツールと捉えられていたんですか?

大槻
全然違います(笑)。僕のバリスタとしてのキャリアは、ポール・バセットというバリスタの世界チャンピオンが運営するカフェから始まったのですが、最初はとにかく技術。抽出、焙煎、ドリップなど、高い品質のコーヒーを淹れるための技を徹底的に磨きました。

でも、途中で「あ、このままじゃ勝てないな……」と気づいてしまって。

加藤
技術では勝負できないということですか?

大槻
はい。同期や先輩を見ても、とにかくみんなコーヒーが好きなんですよ。だから追求の度合いが違う。僕ももちろん好きでしたが、根っからのコーヒー好きというよりは、バリスタという職種に憧れての入店です。筋金入りの彼らと、同じ土俵では到底勝てないと思いました。

じゃあどうするかと考えたとき、僕が唯一自信を持っていたのが接客だったんですよ。

僕の場合、裏表がある接客は好きじゃなくて、いつもの自分を素直に出すだけなんですが、そのスタイルが自分には合っていて。だったらそれを活かして、たくさんの人に素晴らしいコーヒーやバリスタを紹介する役割が一番いいんじゃないかと思ったんです。

加藤
それがTOKYO COFFEE FESTIVALにつながっていくわけですね。

大槻
はい。ああいう場だと、楽しみながらいろんなコーヒーに出会えるからいいですよね。

実際にコーヒーフェスをやって気付くんですが、ほとんどの人は何となくお店を選びます。パッと見の印象です。もちろん豆の情報で選ぶ人もいますが、多くはありません。まずは立ち寄りやすい雰囲気をつくって、一杯飲んでもらう。そこで気に入ったら、お店に通ってもらって深くハマる。そういうのがいいと思っています。

こだわらない、ということにこだわり続ける。

加藤
これから挑戦してみたいことはありますか。

大槻
まだまだ実力不足ではあるのですが、いつか狭い地域や街の一角をプロデュースしてみたいですね。

そこにはカフェだけじゃなくて、ラーメン屋、ライブハウス、レザーショップ、屋台……とかいろんなお店が集まって「そこに行けばいいお店、いい人に出会える場所」。

たとえば、そこにラーメンを食べに行った人が、ラーメン屋の店主が勧めてくれたカフェでコーヒーを飲んでみたら、美味しいな、面白いな、とコーヒーをちょっと好きになったりする。そんな出会いが生まれる場所をつくれたら理想です。

加藤
面白いですね。職人気質の人が多いバリスタの中で、大槻さんのような考えは異端ではないでしょうか?

大槻
僕のようなやり方を批判的に見る人もいるかもしれません。でも「出過ぎた杭は打たれない」って言うじゃないですか(笑)。だから変に線引きをせず、遠慮せず、どんどん新しいことをしていきますよ。

僕はきっと「こだわらない」ということにこだわりたいのだと思います。そして、そういう自分の個性が、店を成長させるビジネスチャンスに繋がっているとも感じます。コーヒーとの関わりは多様でいい。そんな柔軟さで、自分自身が楽しみながら続けていきます。

加藤
応援しています。本日はありがとうございました。

大槻
こちらこそありがとうございました。

いかがだったでしょうか。


コーヒー業界の誰もが知るTOKYO COFFEE FESTIVALの発起人は、誰よりもコーヒーを楽しもうとするバリスタでした。いつの日か、彼がつくった街の一角に遊びに行きたいと思いました。


それでは次回もお楽しみに!

今回取材させていただいたTHE LOCAL さんは渋谷・青山通り沿いにあります。お近くに行かれる際はぜひお立ち寄りください。事前注文・決済アプリ「O:der」を使えば待たずにすぐにコーヒーを楽しめますよ!

THE LOCAL
http://thelocal2016.com/

 

加藤信吾

Kato Shingo

with Barista ! 編集長 ライター / コピーライター
ORIGAMIのブランド設計に外部パートナーとして携わるなかで、様々なバリスタと出会い、各地のスペシャルティコーヒーに感動し、気がつけば一日2杯のコーヒーが欠かせない日々を送る。
twitter:@katoshingo_

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